アルバート・バンデューラ
Albert Bandura(1925–2021)
人は自分で試さなくても、他人を見るだけで学べることを実験で示した。さらに「自分にはできる」という見込みが行動を左右することを理論化し、自己効力感の概念を確立した。
- 肩書き
- 心理学者。社会的学習理論と自己効力感の提唱者
- 活動した国
- カナダ→アメリカ
- 生没
- 1925–2021
- 分野
- 学習・フィードバック
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
スタンフォード大学で長く研究し、大人が人形を乱暴に扱う様子を見た子どもが同じ行動を再現することを示した実験で、観察による学習を明らかにした。人は自分で罰や報酬を受けなくても、他人の結果を見るだけで行動を変える。行動は環境に規定されるだけでなく、人・行動・環境が互いに影響し合う(相互決定論)とも主張した。一九七七年には、ある課題を遂行できるという自分への見込みを自己効力感と定義し、成功体験・他者の観察・言葉による説得・生理的状態という四つの源を示した。この概念は目標設定や訓練の設計に組み込まれ、後に心理的資本の構成要素としても扱われるようになった。
その後、どう扱われているか
自己効力感と仕事の成果の関連は、Stajkovic & Luthans (1998) のメタ分析で平均相関.38と確認され、心理学の構成概念としては強い部類に入る。ただし限定もある。同一人物の中で時間を追って見ると、効力感が高いほど努力が減り成果が下がる場合があるという研究があり、人と人を比べたときの関連がそのまま個人内でも成り立つとは限らない。過信の抑制と、根拠のある成功体験の設計が条件になる。
よくある誤解
自己効力感は自尊心や前向きさとは別の概念である。特定の課題について「自分はこれをやれる」という見込みを指し、励ましや褒め言葉だけでは上がりにくい。小さな成功の積み重ねが主な源である。
主著・主要論文
- Bandura, A., Ross, D., & Ross, S. A. (1961). Transmission of aggression through imitation of aggressive models. Journal of Abnormal and Social Psychology, 63(3), 575–582.
- Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2), 191–215.
- Bandura, A. (1977). Social Learning Theory. Prentice-Hall.
- Bandura, A. (1986). Social Foundations of Thought and Action: A Social Cognitive Theory. Prentice-Hall.
- Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control. W. H. Freeman.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。