アトゥール・ガワンデ
Atul Gawande(1965–)
外科医として働きながら、医療の失敗がなぜ起きるのかを書き続けてきた。世界保健機関の手術安全チェックリストの開発を主導し、単純な道具の効き目を測って示した人物である。
- 肩書き
- 外科医・公衆衛生研究者。チェックリストの安全研究
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1965–
- 分野
- 研究方法・エビデンス
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
医療の複雑さが増すほど、知識の不足ではなく知っていることの実行漏れが事故の主因になると考えた。航空機の操縦手順に着想を得て、麻酔導入前・執刀前・退室前に確認する短い項目表をつくり、世界八都市の病院で導入前後を比較した。二〇〇九年の報告では、合併症の発生率と死亡率がいずれも大きく下がっている。同時に彼が強調したのは、項目表そのものより、手術室にいる全員が名乗り、疑問を口に出せる場をつくる効果のほうである。医療の質・費用・終末期のケアについての一般向けの著述でも知られ、実装の科学を扱う研究所を率いてきた。
その後、どう扱われているか
二〇〇九年の研究は死亡率を一・五パーセントから〇・八パーセントへ下げたと報告し、チェックリストは世界中の手術室に広まった。ただしその後の検証は一様ではない。Urbach et al. (2014) はオンタリオ州の百以上の病院を対象に、導入前後で死亡率にも合併症にも有意な改善が見られなかったと報告している。現在の理解は、項目表を配れば効くのではなく、現場で本当に運用され、指摘が言える関係が伴ってはじめて効くというものである。
よくある誤解
チェックリストは項目を増やすほど効くわけではない。ガワンデ自身は、記憶を補うのは短く、要所だけを扱うものだと述べており、確認作業が形骸化した長い書式は本来の主旨と反対である。
主著・主要論文
- Gawande, A. (2002). Complications: A Surgeon's Notes on an Imperfect Science. Metropolitan Books.
- Gawande, A. (2007). Better: A Surgeon's Notes on Performance. Metropolitan Books.
- Haynes, A. B., et al. (2009). A surgical safety checklist to reduce morbidity and mortality in a global population. New England Journal of Medicine, 360(5), 491–499.
- Gawande, A. (2009). The Checklist Manifesto: How to Get Things Right. Metropolitan Books.
- Gawande, A. (2014). Being Mortal: Medicine and What Matters in the End. Metropolitan Books.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。