ブライアン・ノセック
Brian A. Nosek
心理学の主要な研究がどれだけ再現できるのかを大規模に確かめ、研究のやり方そのものを変える運動を主導した。バージニア大学教授で、オープンサイエンス・センターの所長である。
- 肩書き
- 心理学者。オープンサイエンス運動の中心
- 活動した国
- アメリカ
- 分野
- 研究方法・エビデンス
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
潜在的な態度の測定を研究する社会心理学者として出発し、後に研究慣行そのものを対象に据えた。二〇一三年にオープンサイエンス・センターを設立し、研究計画の事前登録、データと分析コードの公開、査読を結果が出る前に行う登録報告といった仕組みを整えた。二〇一五年には、心理学の主要誌に載った百件の研究を各国の研究者と追試する再現性プロジェクトの結果を公表し、統計的に有意な結果が再現されたのは百件中三十六件だったと報告した。透明性と公開性を扱う指針をまとめ、学術誌が採用できる基準として提示した仕事も彼が中心である。
その後、どう扱われているか
再現性プロジェクトの結果は心理学の外にも波及し、事前登録と登録報告は多くの学術誌の制度になった。他方、解釈をめぐる論争もあった。Gilbert et al. (2016) は追試の手続きと標本の違いを理由に、再現率の低さは過大評価だと反論し、原著者らはこれに再反論している。現在の理解は、再現率の正確な数字より、検出力の低さと選択的な報告が結果を歪めていたという診断のほうが重要だ、というものである。
よくある誤解
「心理学の知見の六割は嘘だった」という要約は正確ではない。再現に失敗したことは、元の結果が誤りだと確定させるものではなく、効果が想定より小さいか条件依存であることを示す。個々の知見は個別に見る必要がある。
主著・主要論文
- Open Science Collaboration (2015). Estimating the reproducibility of psychological science. Science, 349(6251), aac4716.
- Nosek, B. A., et al. (2015). Promoting an open research culture. Science, 348(6242), 1422–1425.
- Nosek, B. A., Ebersole, C. R., DeHaven, A. C., & Mellor, D. T. (2018). The preregistration revolution. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115(11), 2600–2606.
- Nosek, B. A., et al. (2022). Replicability, robustness, and reproducibility in psychological science. Annual Review of Psychology, 73, 719–748.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。