キャロル・ドゥエック
Carol S. Dweck(1946–)
能力は変えられないと考えるか、伸ばせると考えるかで、失敗への反応が変わることを一連の研究で示した。スタンフォード大学教授で、マインドセットという概念の提唱者である。
- 肩書き
- 心理学者。マインドセット研究の提唱者
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1946–
- 分野
- 学習・フィードバック
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
無力感の研究から出発し、同じ失敗を経験しても、原因を能力の限界と見る子どもと、やり方の問題と見る子どもで、その後の粘りが大きく違うことを見出した。レゲットとの一九八八年の論文で、能力についての暗黙の信念が目標のとり方(成績を証明する目標か、学ぶ目標か)を決め、それが失敗への反応を左右するという枠組みを示した。二〇〇六年の一般向け著作で、これを固定マインドセットと成長マインドセットとして提示し、広く知られるようになった。褒めるなら結果や才能ではなく取り組みの過程を褒めるべきだという主張も、ここから出ている。
その後、どう扱われているか
概念としては広がったが、効果量は当初語られたより小さい。Sisk et al. (2018) の二つのメタ分析は、マインドセットと学業成績の相関がごく弱く、介入の効果も平均すれば小さいと報告した。イングランド教育基金の五千人規模の無作為化試験でも、読み書きと算数に有意な改善は見られていない。一方、Yeager et al. (2019) の全米規模の試験は、成績下位の生徒に限れば小さいが確かな効果を報告した。現在の理解は、誰にでも効く介入ではなく、対象と環境を選ぶ、というものである。
よくある誤解
成長マインドセットは「努力すれば何でもできる」という考え方ではない。効果を検証した研究でも、伸びるのはやり方を変えて助けを求める行動であり、努力の量を称える指導は本人が繰り返し誤用として否定している。
主著・主要論文
- Dweck, C. S., & Leggett, E. L. (1988). A social-cognitive approach to motivation and personality. Psychological Review, 95(2), 256–273.
- Dweck, C. S. (2000). Self-theories: Their Role in Motivation, Personality, and Development. Psychology Press.
- Dweck, C. S. (2006). Mindset: The New Psychology of Success. Random House.
- Dweck, C. S., & Yeager, D. S. (2019). Mindsets: A view from two eras. Perspectives on Psychological Science, 14(3), 481–496.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。