コンサルティング心理学大全Consulting Psychology Compendium

クリス・アージリス

Chris Argyris(1923–2013)

人が口で言う理論と実際に使っている理論はずれる、という一点を組織学習の中心に据えた研究者である。頭のよい人ほど失敗を直視せず学習を避ける、という指摘でも知られる。

肩書き
組織行動学者。二重ループ学習と組織学習の理論家
活動した国
アメリカ
生没
1923–2013
分野
学習・フィードバック
収録した言葉
2件

何をした人か

イェール大学からハーバード大学へ移り、ドナルド・ショーンと組んで行為の理論を組み立てた。人は建前としての理論(espoused theory)と、実際の行動を支配している理論(theory-in-use)を持ち、両者のずれ自体が本人には見えないと論じた。目標を達成する手段を直すのが一重ループ学習、目標や前提そのものを問い直すのが二重ループ学習である。組織には失敗の直視を避ける防衛的思考が習慣として埋め込まれており、それを話題にすること自体もタブーになる(防衛ルーチン)。抽象度の高い解釈へ一気に飛ぶ過程を「推論のはしご」として可視化する手法も彼による。

その後、どう扱われているか

建前と実際のずれ、二重ループ学習という語は組織学習の基本語彙として定着した。ただし検証の面では弱い。概念が操作化されておらず、標準的な尺度も対照群を置いた効果検証もほとんど存在せず、根拠は本人と協働者の事例記述に依存している。近年の体系的レビューも、二重ループ学習は概念としては広く引用される一方、実証研究としては断片的だと指摘している。支持されているのは、建前と実際のずれが学習を妨げるという現象の記述であり、Model IIへ移行する介入が効くという証拠ではない。

よくある誤解

ここが取り違えられやすい

「二重ループ学習」を、単に大きな課題を扱うことの言い換えとして使うのは本人の定義から外れる。問い直すのは自分が実際に用いている前提であり、他人の前提を批評することではない。

主著・主要論文

  1. Argyris, C. (1957). Personality and Organization. Harper.
  2. Argyris, C., & Schön, D. A. (1974). Theory in Practice: Increasing Professional Effectiveness. Jossey-Bass.
  3. Argyris, C., & Schön, D. A. (1978). Organizational Learning: A Theory of Action Perspective. Addison-Wesley.
  4. Argyris, C. (1990). Overcoming Organizational Defenses. Allyn & Bacon.
  5. Argyris, C. (1991). Teaching smart people how to learn. Harvard Business Review, 69(3), 99–109.

刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。

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