ドナルド・ショーン
Donald A. Schön(1930–1997)
専門職の熟練は、科学的知識を現場に当てはめる作業ではなく、行為の最中に状況と対話しながら考え直す営みだと論じた。実務家の学びを語る言葉そのものを変えた、MITの哲学者・教育研究者である。
- 肩書き
- 哲学者・教育研究者。省察的実践論の提唱者
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1930–1997
- 分野
- 学習・フィードバック
- 収録した言葉
- 2件
何をした人か
MITで都市研究と教育を教えるかたわら、建築設計・心理療法・経営など複数の専門職の実際の仕事ぶりを観察した。そこから、大学が前提としてきた「技術的合理性」——一般理論を個別の事例に適用すれば解決するという見方——では、現場の厄介で一回きりの状況を説明できないと批判した。代わりに置いたのが行為の中の省察である。実践者は状況の返してくる手応えを読み、自分の枠組み自体をその場で組み替えている。事後に振り返る「行為についての省察」と区別した点も重要である。アージリスとは組織学習の理論を共同で構築し、二重ループ学習の概念を共有した。
その後、どう扱われているか
省察的実践は、看護・教員養成・ソーシャルワーク・コーチングの専門職教育に広く採り入れられ、指導者研修の標準的な語彙になった。ただし概念そのものへの批判も強い。エラウトは、行為の最中に本当に省察する時間があるのかという時間的な無理と、用語の定義の曖昧さを指摘した(Teachers and Teaching, 1995)。省察の訓練が成果を改善するという対照研究は少なく、支持されているのは理論というより、実務家の暗黙知を扱うための枠組みである。
よくある誤解
省察的実践は「振り返りの時間をとること」と同義ではない。ショーンが重視したのは行為の最中に枠組みを組み替えることであり、事後の反省会だけでは彼の言う省察にならない。
主著・主要論文
- Schön, D. A. (1971). Beyond the Stable State. Random House.
- Argyris, C., & Schön, D. A. (1978). Organizational Learning: A Theory of Action Perspective. Addison-Wesley.
- Schön, D. A. (1983). The Reflective Practitioner: How Professionals Think in Action. Basic Books.
- Schön, D. A. (1987). Educating the Reflective Practitioner. Jossey-Bass.
- Schön, D. A., & Rein, M. (1994). Frame Reflection: Toward the Resolution of Intractable Policy Controversies. Basic Books.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。