ドナルド・ローリー
Donald L. Laurie
ボストンを拠点にする経営コンサルタント。ハイフェッツとの共著論文で「適応課題」という見方を経営誌に持ち込み、答えを配るリーダー像そのものを疑う議論を実務の言葉に翻訳した。
- 肩書き
- 経営コンサルタント。適応課題の考え方を示した
- 活動した国
- アメリカ
- 分野
- リーダーシップ
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
戦略コンサルティング会社オイスター・インターナショナルなどを率い、成長戦略や新規事業の立ち上げを支援してきた。一九九七年にハーバード大学のロナルド・ハイフェッツと共著した論文で、経営が向き合う課題を二つに分けた。既存の知識と権限で解ける「技術的問題」と、当事者自身の前提や行動が変わらなければ解けない「適応課題」である。適応課題では、リーダーが解決策を示すほど組織は他人事になる。だからリーダーの仕事は答えを配ることではなく、現実を直視させ、組織が耐えられる範囲に混乱の度合いを調整し、課題を当事者に返すことだと論じた。単著では、経営者への聞き取りをもとにこの見方を日々の実務へ落としている。
その後、どう扱われているか
技術的問題と適応課題の区別は、変革の現場で使いやすい整理として定着し、リーダーシップ開発の教材にも広く入った。ただしこれは実証研究から導かれた理論ではなく、事例観察に基づく枠組みである。適応型リーダーシップを測る尺度が作られ実証研究が始まったのは二〇〇〇年代後半以降で、蓄積はまだ薄い。どの課題が適応課題かを事前に判定する基準も示されておらず、結果を見てから「あれは適応課題だった」と説明できてしまう。実務の見取り図としては有用だが、効果が検証された介入ではない。
よくある誤解
この見方はハイフェッツとの共著で世に出たもので、ローリー単独の理論ではない。日本では二分法だけが切り出されて紹介されがちだが、原論文の力点は、リーダーが組織の混乱の水準を調整するという実務のほうにある。
主著・主要論文
- Heifetz, R. A., & Laurie, D. L. (1997). The Work of Leadership. Harvard Business Review, 75(1), 124–134.
- Laurie, D. L. (2000). The Real Work of Leaders: A Report from the Front Lines of Management. Perseus Books.
- Laurie, D. L. (2001). Venture Catalyst: The Five Strategies for Explosive Corporate Growth. Perseus Publishing.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。