コンサルティング心理学大全Consulting Psychology Compendium

ダグラス・マグレガー

Douglas McGregor(1906–1964)

管理者が部下について何を前提にしているかが、管理のやり方そのものを決めてしまう。X理論とY理論という対比によって、その関係を経営の議論の中心に据えたMITの研究者である。

肩書き
経営学者。X理論・Y理論を提示したMITの研究者
活動した国
アメリカ
生没
1906–1964
分野
経営・マネジメント
収録した言葉
1件

何をした人か

ハーバード大学で心理学の博士号を取り、一九四八年から五四年までアンティオーク大学の学長を務めた。組織を実際に動かした経験を持ち帰り、MITスローン経営大学院の初期の教授陣に加わっている。一九六〇年の『企業の人間的側面』では、管理の実践は技術ではなく人間観に支えられていると論じた。X理論は、人は仕事を嫌い放っておけば働かないので統制が要るという前提。Y理論は、条件が整えば人は自ら方向づけ責任を引き受けるという前提である。彼が求めたのはY理論への乗り換えそのものではなく、管理者が自分の前提を検証し、統制の仕組みがその前提を自己成就させていないかを疑うことだった。

その後、どう扱われているか

X理論・Y理論は管理教育の定番になった一方、理論としての検証は長く手つかずだった。構成概念妥当性を備えた測定尺度が作られたのは二〇〇八年のコペルマンらの研究で、提示から半世紀近く、まともに測られてこなかったことを意味する。Y理論的な管理が常に優れるという証拠もない。支持されているのはもっと限定的な部分である。管理者の期待が部下の成果を左右するというピグマリオン効果は、イーデンらの現場実験で繰り返し確認されてきた。前提が行動を通じて現実になるという核は残り、二分法自体は分析装置というより教育用の対比として扱われている。

よくある誤解

ここが取り違えられやすい

マグレガー自身はY理論を唯一の正解として説いていない。シャインは、彼がY理論をX理論と同じくらい教条的な原則集として扱われることに困惑していたと記している。二分法は人の分類ではなく、管理者の前提を点検するための対比である。

主著・主要論文

  1. McGregor, D. (1957). The human side of enterprise. Management Review, 46(11), 22–28.
  2. McGregor, D. (1960). The Human Side of Enterprise. McGraw-Hill.
  3. McGregor, D. (1967). The Professional Manager. McGraw-Hill.

刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。

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