エドガー・シャイン
Edgar H. Schein(1928–2023)
MITで組織心理学を教え、コンサルタントの仕事を「答えを渡すこと」から「クライアントが自分で見えるようになるのを助けること」へ置き換えた人物である。組織文化を三層で捉える枠組みも彼のものである。
- 肩書き
- 組織心理学者。プロセス・コンサルテーションの確立者
- 活動した国
- スイス→アメリカ
- 生没
- 1928–2023
- 分野
- 組織開発・変革
- 収録した言葉
- 3件
何をした人か
第二次大戦後の捕虜の思想改造の研究から出発し、人が集団の中で前提を書き換えられていく過程を追った。一九六九年の『プロセス・コンサルテーション』では、専門家が診断して処方する型と、クライアント自身が問題を見立てられるよう関係をつくる型を区別し、後者を支援の基本に置いた。組織文化については、目に見える人工物、標榜される価値観、無意識の基本的前提という三層を示し、変えにくいのは最深層だと論じた。晩年の『問いかける技術』では、上下関係のある場で相手に本当のことを話してもらうための「謙虚な問いかけ」を実務者向けにまとめている。キャリア・アンカーの概念も彼による。
その後、どう扱われているか
文化を多層で捉える枠組みは組織診断の共通言語として定着し、実務での支持は厚い。一方で検証は限定的である。最深層の基本的前提は質問紙では測れないため、シャインの名を掲げた定量研究の多くは実際には人工物と標榜される価値の層を測っている。プロセス・コンサルテーション自体も、対照群を置いて効果量を示した研究はほとんどない。支持されているのは枠組みの有用性であって、効果の実証ではない、と読むのが正確である。
よくある誤解
「企業文化を変える」を掲げた施策が、シャインの言う人工物(制度・標語・オフィス)の層だけを動かして終わることが多い。本人は最深層の基本的前提こそ測定も変更も難しいと繰り返し書いている。
主著・主要論文
- Schein, E. H. (1969). Process Consultation: Its Role in Organization Development. Addison-Wesley.
- Schein, E. H. (1978). Career Dynamics: Matching Individual and Organizational Needs. Addison-Wesley.
- Schein, E. H. (1985). Organizational Culture and Leadership. Jossey-Bass.
- Schein, E. H. (2013). Humble Inquiry: The Gentle Art of Asking Instead of Telling. Berrett-Koehler.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。