エリック・デハーン
Erik de Haan
エグゼクティブ・コーチングの効果を、成功談ではなく大規模データと無作為化比較試験で測ろうとしてきた研究者。「どの技法を使うか」より「関係の質」を問う立場をとってきた。
- 肩書き
- エグゼクティブ・コーチング研究者。共通要因を検証
- 活動した国
- オランダ→イギリス
- 分野
- 学習・フィードバック
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
アシュリッジのコーチング・センターを率い、アムステルダム自由大学の教授も務める。心理物理学で博士号を取ったのち臨床的な訓練を受けた経歴を持ち、コーチングを実験室ではなく実際の顧客関係の中で測る方法を積み上げてきた。二〇一六年の大規模研究では、多数のコーチと顧客の組を対象に、用いた技法の違いよりも、作業同盟の強さや自己効力感といった、心理療法研究でいう「共通要因」のほうが結果をよく説明することを示している。二〇一九年には多国籍の医療企業で無作為化に近い試験を実施し、二〇二三年にはニルソンとともに、無作為化比較試験だけを対象にしたコーチングのメタ分析を発表した。
その後、どう扱われているか
コーチングは効くのか。デハーンとニルソンの二〇二三年のメタ分析は、無作為化比較試験三七件・参加者二五二八名に限っても、全体で中程度の効果量g=0.59が得られたと報告した。ただし同じ論文が、自己報告の指標では効果が大きく他者評価では小さいこと、出版バイアスが無視できないことも明記している。技法の違いが結果をあまり説明しないという知見は、心理療法研究の共通要因論と同じ方向を向くが、では関係の質をどう作るのかという問いには答えが出ていない。効果はある、ただし測り方に依存し、何が効いているかは未解決、というのが現在の位置である。
よくある誤解
「関係が大事で技法は関係ない」と要約されがちだが、共通要因の研究が示しているのは技法の無効ではなく、技法の違いが結果の差をあまり説明しないことである。無作為化比較試験の件数はまだ少なく、結論は今後更新されうる。
主著・主要論文
- de Haan, E., Grant, A. M., Burger, Y., & Eriksson, P.-O. (2016). A large-scale study of executive and workplace coaching. Consulting Psychology Journal: Practice and Research, 68(3), 189–207.
- de Haan, E., Gray, D. E., & Bonneywell, S. (2019). Executive coaching outcome research in a field setting. Academy of Management Learning & Education, 18(4).
- de Haan, E., & Nilsson, V. O. (2023). What can we know about the effectiveness of coaching? A meta-analysis based only on randomized controlled trials. Academy of Management Learning & Education, 22(4).
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。