フランク・シュミット
Frank L. Schmidt(1944–2021)
採用選抜の妥当性は職場ごとにばらばらだ、という当時の常識を統計的に崩した研究者。研究結果を束ねて誤差を補正するメタ分析という方法を、心理学に定着させた人物でもある。
- 肩書き
- 産業・組織心理学者。妥当性一般化とメタ分析の確立者
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1944–2021
- 分野
- 研究方法・エビデンス
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
パデュー大学で博士号を取得後、ミシガン州立大学を経て一九七四年から米国連邦人事機関の研究職に就き、一九八五年からアイオワ大学で教えた。仕事の中心にはジョン・ハンターとの共同研究がある。当時は、同じ検査でも職場が変われば妥当性が変わる(状況特殊性)と考えられていた。二人は、研究ごとのばらつきの多くが標本誤差・測定の誤差・範囲制限といった人工的な要因で説明できることを示し、それらを補正する手続きを「妥当性一般化」として定式化した。この補正の考え方は選抜研究を超えて広がり、心理測定学的メタ分析として研究総合の標準的な方法になっている。一九九八年の総括論文は、一般知的能力に構造化面接や職務サンプルを組み合わせる選抜がもっとも予測力が高いと結論づけ、人事実務の教科書的な根拠になった。
その後、どう扱われているか
メタ分析という方法を普及させたという点で、この仕事の影響は分野を越えて残っている。一方、一九九八年論文の数値そのものは下方修正された。サケットらは二〇二二年、範囲制限の補正が系統的に過大だったと指摘し、一般知的能力の妥当性を.51から.31へ、職務サンプルを.54から.33へ改めている。順位も入れ替わり、単独でもっとも予測力が高いのは構造化面接(.42)とされた。「知的能力検査が最強」という要約は、この改訂によって成り立たなくなっている。ただし、複数の手法を組み合わせるほど予測力が上がるという実務上の含意は変わっていない。
よくある誤解
「一般知的能力が採用の最強の予測因子」という一九九八年由来の要約は、二〇二二年のサケットらの再推定で更新されている。妥当性の数値を引くときは、どちらの推定に基づくものかを確かめる必要がある。
主著・主要論文
- Schmidt, F. L., & Hunter, J. E. (1977). Development of a general solution to the problem of validity generalization. Journal of Applied Psychology, 62(5), 529–540.
- Hunter, J. E., & Schmidt, F. L. (1990). Methods of Meta-Analysis: Correcting Error and Bias in Research Findings. Sage.
- Schmidt, F. L., & Hunter, J. E. (1998). The validity and utility of selection methods in personnel psychology. Psychological Bulletin, 124(2), 262–274.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。