フレデリック・ハーズバーグ
Frederick Herzberg(1923–2000)
満足の反対は不満ではない。職務満足と不満足をそれぞれ別の要因で説明する二要因理論を掲げ、仕事の中身そのものを設計し直す職務充実という実務を広めた心理学者である。
- 肩書き
- 臨床心理学者。動機づけ・衛生理論と職務充実の提唱者
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1923–2000
- 分野
- モチベーション・働きがい
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
ピッツバーグ大学で学位を取り、ケース・ウェスタン・リザーブ大学に産業精神衛生の部門を作ったのち、一九七二年からユタ大学で教えた。技師と会計士に「仕事で特によかった出来事/特に悪かった出来事」を語らせる臨界事例法の調査から、満足をもたらす要因(達成・承認・仕事そのもの・責任・昇進)と、不満足をもたらす要因(会社の方針・監督・給与・作業条件・対人関係)は別物だと主張した。前者を動機づけ要因、後者を衛生要因と呼ぶ。ここから、待遇の改善は不満を減らすだけで意欲を生まないという主張が導かれ、仕事そのものを設計し直す職務充実が処方箋になった。一九六八年のHBR論文は同誌史上もっとも複製を求められた記事になっている。
その後、どう扱われているか
二要因理論は、そのままの形では支持されていない。ハウスとウィグドアが一九六七年に整理したとおり、この結果は臨界事例法を使ったときにだけ再現され、別の方法で測ると二つの要因は分離しなかった。良い結果を自分の手柄に、悪い結果を環境のせいにする帰属の偏りが結果を作った可能性が高い。給与を衛生要因に置いた点は、賃金と職務満足の相関が弱いというジャッジらの二〇一〇年のメタ分析(r=.14前後)と部分的に整合する一方、賃金が動機づけに無関係だという証拠ではない。他方、実務の核である職務再設計はハックマンとオルダムの職務特性モデルに引き継がれ、満足への効果は繰り返し確認されている。
よくある誤解
二要因理論を「給与では人は動かない」と要約するのは行きすぎである。ハーズバーグの主張は、給与は不満の源になるが満足の源にはなりにくいというもので、しかもその二分自体が調査方法に依存した結果だったと指摘されている。
主著・主要論文
- Herzberg, F., Mausner, B., & Snyderman, B. B. (1959). The Motivation to Work. John Wiley & Sons.
- Herzberg, F. (1966). Work and the Nature of Man. World Publishing.
- Herzberg, F. (1968). One more time: How do you motivate employees? Harvard Business Review, 46(1), 53–62.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。