ヘンリー・ミンツバーグ
Henry Mintzberg(1939–)
経営者は実際に何をしているのかを観察から書き起こし、計画的で体系的という通念を崩した。マギル大学で長く教え、戦略論と管理職教育の両方に異議を唱え続けている研究者である。
- 肩書き
- 経営学者。戦略計画の限界を論じた研究者
- 活動した国
- カナダ
- 生没
- 1939–
- 分野
- 経営・マネジメント
- 収録した言葉
- 2件
何をした人か
博士論文で五人の経営者に張りついて時間の使い方を記録し、実際の仕事が短く断片的で口頭中心であることを示した。ここから対人・情報・意思決定の三系統十役割という記述を導いた。戦略については、事前に立てた意図的戦略だけでなく、現場の行動が積み重なって後から形になる創発的戦略があるとし、計画と戦略づくりを混同するなと論じた。組織構造は単純構造・機械的官僚制・専門的官僚制・事業部制・アドホクラシーといった型の組み合わせで捉えた。管理職教育についても、実務経験のない者にMBAで経営を教える方式を批判している。
その後、どう扱われているか
管理職の仕事が断片的だという観察は追試でも繰り返し確認され、定説になった。創発的戦略の考え方も戦略研究に定着している。一方で、計画そのものへの否定的評価は支持されていない。Miller & Cardinal (1994) のメタ分析は、戦略計画と企業業績のあいだに正の関連を報告している。また元になった観察は五人という小標本で、十の管理職役割は尺度として広く検証されたわけではない。批判の切れ味と実証の強さは別に見るべきである。
よくある誤解
「戦略計画は役に立たない」と要約されがちだが、本人が否定したのは計画づくりを戦略思考の代用にすることであって、計画そのものではない。計画は戦略を実行に落とす手段だと位置づけている。
主著・主要論文
- Mintzberg, H. (1973). The Nature of Managerial Work. Harper & Row.
- Mintzberg, H. (1979). The Structuring of Organizations. Prentice-Hall.
- Mintzberg, H. (1994). The Rise and Fall of Strategic Planning. Free Press.
- Mintzberg, H. (2004). Managers Not MBAs. Berrett-Koehler.
- Mintzberg, H. (2009). Managing. Berrett-Koehler.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。