コンサルティング心理学大全Consulting Psychology Compendium

ハーブ・ケレハー

Herb Kelleher(1931–2019)

従業員を第一に置けば、従業員が顧客を大切にし、顧客が戻ってくる。その順序を掲げてサウスウエスト航空を率い、低コスト航空という事業の型そのものを作りあげた経営者である。

肩書き
サウスウエスト航空の共同創業者・元CEO
活動した国
アメリカ
生没
1931–2019
分野
経営・マネジメント
収録した言葉
1件

何をした人か

弁護士として一九六七年の設立に関わり、参入を阻む訴訟をくぐり抜けて一九七一年の就航にこぎつけた。一九七八年から会長、一九八一年から二〇〇一年まで最高経営責任者を務めている。事業の設計は徹底して単純だった。機材をボーイング737の一機種に絞り、ハブ空港を経由せず二地点間を直行で結び、混雑の少ない二次空港を使い、機内サービスを削って折り返し時間を短くする。この運用効率が低運賃を支えた。同時に、採用では技能より態度を見る、現場に判断を委ねる、ユーモアを組織の様式として認めるといった人事方針を掲げ、労働組合の組織率が高いまま高い生産性を保った点でも注目された。

その後、どう扱われているか

サウスウエストは一九七三年から四七年連続の黒字を記録し、低コスト航空の原型として世界中で模倣された。ただし移植の結果は一様ではない。ギッテルの研究は、成果を支えていたのが運賃や機材だけでなく、職種をまたぐ「関係的協調」、すなわち共有された目標・知識・相互の尊重だったと分析している。価格戦略と運航方式だけを真似た航空会社の多くは、同じ成績を出せていない。また企業文化と業績の因果は、単一企業の事例研究では原理的に確かめにくい。連続黒字も二〇二〇年の需要蒸発で途切れており、前提条件つきの成功だったことが示された。

よくある誤解

ここが取り違えられやすい

「従業員第一を掲げれば業績が上がる」という因果は、この事例からは示せない。同社の成績は一機種運用や二地点間直行といった事業設計と不可分であり、人事方針だけを切り出して移植しても再現するとは限らない。

主著・主要論文

  1. Freiberg, K., & Freiberg, J. (1996). Nuts! Southwest Airlines' Crazy Recipe for Business and Personal Success. Bard Press.
  2. Gittell, J. H. (2003). The Southwest Airlines Way: Using the Power of Relationships to Achieve High Performance. McGraw-Hill.
  3. Lucier, C. (2004). The thought leader interview: Herb Kelleher. strategy+business, 35.

刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。

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