コンサルティング心理学大全Consulting Psychology Compendium

ジェーン・ダットン

Jane E. Dutton

仕事は与えられるだけのものではなく、働く人自身が作り変えている。ジョブ・クラフティングという概念を示し、職場の関係の質そのものを研究の対象に据えた組織行動研究者。

肩書き
組織行動研究者。ジョブ・クラフティングの共同提唱者
活動した国
アメリカ
分野
モチベーション・働きがい
収録した言葉
1件

何をした人か

ミシガン大学ロス経営大学院で教え、二〇〇二年にキム・キャメロン、ロバート・クインらとポジティブ組織研究のセンターを立ち上げた。二〇〇一年にエイミー・レズネスキーと発表した論文が、ジョブ・クラフティングの出発点である。清掃員や技師への調査から、働く人が仕事の課題の範囲、関わる相手、そして仕事の意味づけを、上司に指示されなくても変えていることを示した。仕事の設計を経営の側からだけ見てきた従来の職務設計研究に対し、従業員を能動的な設計者として位置づけた点が転換だった。あわせて、職場での短い相互作用が持つ質、いわゆる高質なつながりや、組織における思いやりのはたらきも研究している。

その後、どう扱われているか

ジョブ・クラフティングは実務にも研究にも急速に広がり、日本でも研修の題材として定着した。一方、概念は途中で分岐している。二〇〇一年の原論文は質的な観察に基づく概念提示であり、尺度は含まれていない。広く使われている尺度はティムスらがJD-Rの語彙で作り直したもので、原論文の三要素とは対応しない。ルドルフらの二〇一七年のメタ分析はエンゲージメントや成果との相関を確認したが、多くが横断調査であり因果は言えない。要求を減らす方向のクラフティングは成果と負の関係を示す。介入研究の効果量も小さく、条件によって結果が割れている。

よくある誤解

ここが取り違えられやすい

ジョブ・クラフティングは「仕事の意味づけを変える工夫」だけを指すのではない。原論文では課題の範囲・関わる相手・認知の三つを含む。研究結果を読むときは、どの定義とどの尺度に基づくものかを確かめる必要がある。

主著・主要論文

  1. Dutton, J. E., & Dukerich, J. M. (1991). Keeping an eye on the mirror: Image and identity in organizational adaptation. Academy of Management Journal, 34(3), 517–554.
  2. Wrzesniewski, A., & Dutton, J. E. (2001). Crafting a job: Revisioning employees as active crafters of their work. Academy of Management Review, 26(2), 179–201.
  3. Cameron, K. S., Dutton, J. E., & Quinn, R. E. (Eds.). (2003). Positive Organizational Scholarship. Berrett-Koehler.
  4. Dutton, J. E. (2003). Energize Your Workplace. Jossey-Bass.
  5. Worline, M. C., & Dutton, J. E. (2017). Awakening Compassion at Work. Berrett-Koehler.

刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。

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