カール・ワイク
Karl E. Weick(1936–2026)
組織とは固定した構造ではなく、そこにいる人が意味を作り続ける過程である。センスメイキングという概念によって、組織をどう見るかそのものを変えた組織心理学者である。
- 肩書き
- 組織心理学者。センスメイキング研究の中心人物
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1936–2026
- 分野
- 組織開発・変革
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
ミネソタ、コーネル、テキサスを経てミシガン大学で長く教えた。出発点は一九六九年の著作で、組織という名詞ではなく組織化という動詞で考えるべきだと主張した。人は状況を理解してから行動するのではない。行動してみて、その結果を後から意味づける。だから、自分が何を言うのかを見るまで自分が何を考えているのかは分からない。この視点から失敗の分析にも切り込んだ。一九四九年のマンガルチ峡谷の山火事で、消防降下隊が道具を捨てろという指示に従えず犠牲になった事例を、役割の構造と意味の枠組みが同時に崩れる過程として読み解いている。サトクリフとの共著では、高信頼性組織が小さな異常に注意を払い続ける仕組みを整理した。
その後、どう扱われているか
センスメイキングは組織研究の基本語彙になり、事故調査・危機対応・変革の実務にも取り込まれた。サトクリフとの高信頼性組織の議論は、医療安全や航空の運用に具体的な指針を与えている。一方、理論としての性格には注意がいる。センスメイキングは仮説を検証する理論というより出来事を読み解くための視点であり、予測や反証の手続きを持たない。中心となる事例も事後の資料に基づく解釈であり、同じ事象に別の読み方を当てることもできる。概念の適用範囲が広がりすぎて何でも説明できてしまうという指摘もあり、測定可能な形に絞る試みが続いている。
よくある誤解
センスメイキングは「腹落ちさせる」「納得させる」という説得の技法ではない。ワイクの用語では、行動したあとにその意味を回顧的に作り上げる過程を指し、意味づけは行為に先行しないという主張が核にある。
主著・主要論文
- Weick, K. E. (1969). The Social Psychology of Organizing. Addison-Wesley.
- Weick, K. E. (1993). The collapse of sensemaking in organizations: The Mann Gulch disaster. Administrative Science Quarterly, 38(4), 628–652.
- Weick, K. E. (1995). Sensemaking in Organizations. Sage.
- Weick, K. E., & Sutcliffe, K. M. (2001). Managing the Unexpected. Jossey-Bass.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。