マーシャル・ゴールドスミス
Marshall Goldsmith(1949–)
経営層を対象にしたコーチングを職業として確立した一人。過去の出来事を評価するフィードバックの代わりに、これからの行動案だけを短く交換する「フィードフォワード」という進め方を広めた。
- 肩書き
- エグゼクティブ・コーチ。行動変容を支援
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1949–
- 分野
- 学習・フィードバック
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
手法の中心は、本人の性格や過去ではなく、周囲から見える行動を一つか二つに絞って変えることにある。上司・同僚・部下に協力者になってもらい、変えたい行動を本人が宣言し、周囲へ定期的に進捗を尋ね続ける。成果の判定を本人ではなく周囲の評価に置くのが特徴である。フィードフォワードは、過去の出来事の評価を持ち出さず、これから何をするとよいかの案だけを短時間で出し合う演習で、受け手が身構えにくいことを狙う。著書では、成果を上げてきた人ほど陥りやすい対人行動の癖として、勝ちすぎる、言わなくていい価値を付け足す、他人の手柄を自分のものにするといった項目を並べ、新しく身につけるより、やめることのほうが難しいと論じた。
その後、どう扱われているか
エグゼクティブ・コーチングの効果はその後メタ分析で検討され、Theeboomら(2014)やJonesら(2016)は成果・スキル・ウェルビーイングに中程度の効果を報告している。ただし対象研究の多くが統制群を欠き、自己報告に頼るという限界も同時に指摘された。フィードフォワードという手続きそのものを独立に検証した研究は少ない。周囲を巻き込んで追跡を続ける設計は、フィードバックが必ずしも行動につながらないという古い知見(クルーガーとデニシ, 1996)への一つの応答として読める。
よくある誤解
フィードフォワードはフィードバックの置き換えではなく、補うものとして提案された。事実の指摘や評価が必要な場面まで未来の話だけにすると、問題そのものが共有されなくなる。
主著・主要論文
- Goldsmith, M. (2002). Try feedforward instead of feedback. Leader to Leader, 2002(25), 11–16.
- Goldsmith, M., & Reiter, M. (2007). What Got You Here Won't Get You There. Hyperion.
- Goldsmith, M., & Reiter, M. (2015). Triggers: Creating Behavior That Lasts. Crown Business.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。