マイケル・ポーター
Michael E. Porter(1947–)
産業組織論の道具立てを経営に持ち込み、業界の構造から企業の収益性を説明する枠組みを作った経営学者。ファイブフォースとバリューチェーンは、いまも実務の共通語として使われている。
- 肩書き
- 経営学者。競争戦略論を体系化した
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1947–
- 分野
- 経営・マネジメント
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
出発点は、企業の収益性の差を経営者の資質ではなく業界の構造で説明しようとした点にある。『競争の戦略』では、新規参入の脅威、代替品、買い手の交渉力、売り手の交渉力、既存企業間の敵対関係という五つの力で業界の構造を読む枠組みを示し、企業が取りうる基本戦略をコスト・リーダーシップ、差別化、集中の三つに整理した。『競争優位の戦略』では、企業の営みを購買・製造・出荷・販売・サービスと支援活動に分解するバリューチェーンを示し、優位が生まれる場所を活動の単位で特定できるようにした。一九九六年の論文では、戦略とは他社と違う活動を選び、それらを噛み合わせることだと定義し直し、業務改善の積み上げは戦略ではないと述べている。
その後、どう扱われているか
枠組みの普及度と実証の強さは別である。ルメルト(1991)は、事業の収益率のばらつきのうち業界で説明できる部分は小さく、事業単位に固有の要因のほうがはるかに大きいと報告し、業界構造を中心に置く見方に修正を迫った。マッガハンとポーター(1997)は業界の効果をより大きく見積もり返したが、この論争を経て、企業内部の資源に注目する資源ベース理論が主流の一角を占めるようになった。ファイブフォースは補完財や産業の動きを扱いにくいという批判が続く。一方、バリューチェーンと活動の適合という考え方は比較的よく残っている。
よくある誤解
コスト・リーダーシップと差別化のどちらかを選べ、中途半端が最悪だという主張は、その後の実証で例外が数多く見つかっている。両立している企業は珍しくなく、二者択一の指針として使うと判断を誤る。
主著・主要論文
- Porter, M. E. (1980). Competitive Strategy. Free Press.
- Porter, M. E. (1985). Competitive Advantage. Free Press.
- Porter, M. E. (1990). The Competitive Advantage of Nations. Free Press.
- Porter, M. E. (1996). What is strategy? Harvard Business Review, 74(6), 61–78.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。