ロビン・ホガース
Robin M. Hogarth(1942–2024)
直感を信じるか疑うかという二択ではなく、どんな環境で経験を積んだのかによって直感の当たり外れが決まる、と論じた意思決定研究者。学習環境の質を判断力の条件として扱った。
- 肩書き
- 意思決定研究者。直感が育つ条件を論じた
- 活動した国
- アメリカ→スペイン
- 生没
- 1942–2024
- 分野
- 意思決定・行動科学
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
中心にあるのは、学習環境を「親切な環境」と「意地悪な環境」に分ける見方である。親切な環境では、判断してから結果が返るまでが速く、返ってくる情報が正確で、練習のときと本番で世界の規則が変わらない。チェスや気象の読み、麻酔の処置などが当たる。意地悪な環境では、結果が返らない、返っても偏っている、あるいは自分の判断そのものが結果を変えてしまう。採用面接で不採用にした人のその後は分からず、相場の予測は当てた理由が分からない。この区別を使えば、専門家の直感を信頼できるかどうかを、経験年数ではなく経験した環境の性質で見積もれる。ホガースはさらに、意地悪な環境でも意図的にフィードバックを作り込めば直感は教育できると論じた。
その後、どう扱われているか
親切と意地悪という区別は、専門家の直感をめぐる論争を整理する枠として広く受け入れられた。カーネマンとクラインが直感の信頼性について歩み寄った二〇〇九年の共著論文も、規則性のある環境と、フィードバックによる学習機会という、ほぼ同じ条件を挙げている。一方で、この枠組み自体を定量的に検証した研究は多くない。実際の職場は親切と意地悪の中間にあり、どちらに分類するかは研究者の判断に委ねられがちである。経験年数が直感の質を保証しないという含意は採用や昇進の議論でよく引かれるが、職場データで直接確かめた例はまだ少ない。
よくある誤解
直感は当てにならないとも、経験を積めば磨かれるとも読まれるが、ホガースの主張はどちらでもない。当たるかどうかは環境の性質で決まるので、まず自分の仕事がどちらかを見分けよ、というのが要点である。
主著・主要論文
- Hogarth, R. M. (1987). Judgement and Choice: The Psychology of Decision (2nd ed.). Wiley.
- Hogarth, R. M. (2001). Educating Intuition. University of Chicago Press.
- Hogarth, R. M., Lejarraga, T., & Soyer, E. (2015). The two settings of kind and wicked learning environments. Current Directions in Psychological Science, 24(5), 379–385.
- Soyer, E., & Hogarth, R. M. (2020). The Myth of Experience. PublicAffairs.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。