ロナルド・ハイフェッツ
Ronald A. Heifetz(1951–)
解決策が既にわかっている問題と、当事者の価値観や習慣そのものが変わらないと解けない問題を区別した。後者を適応課題と呼び、リーダーの仕事を定義し直した人物である。
- 肩書き
- リーダーシップ研究者。適応課題の概念を示した
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1951–
- 分野
- リーダーシップ
- 収録した言葉
- 2件
何をした人か
医師としての訓練を経てハーバード・ケネディスクールで教え、公共リーダーシップセンターを立ち上げた。技術的問題は既存の専門知識と権威で処理できるが、適応課題では、当事者自身が損失を引き受けて学び直す必要がある。この二つを取り違え、適応課題に技術的解決を当てると必ず行き詰まる、というのが中心の主張である。そこでリーダーの役割は答えを配ることではなく、人々が課題に向き合える程度に緊張を保ち、仕事を当事者に返すことになる。渦中から一歩引いて全体の型を見る「バルコニーに上がる」、失望を引き受ける覚悟を扱う議論もここから出ている。
その後、どう扱われているか
技術的問題と適応課題という区別は、変革の場面で何を誤りやすいかを言い当てており、行政・医療・企業の研修に広く採り入れられた。ただし検証は進んでいない。適応型リーダーシップには合意された測定尺度がなく、対照群を置いて効果を示した研究もほとんど存在しない。事例と臨床的な観察に基づく枠組みであり、状況を見立てる道具としては有用だが、効果が実証された介入手法として扱うのは行き過ぎである。近年ようやく尺度化の試みが出てきた段階にある。
よくある誤解
適応課題は「難しい問題」の言い換えではない。技術的に難しくても解法が既知なら技術的問題である。当事者の前提や利害の側が変わらなければ解けない、という条件が適応課題の定義である。
主著・主要論文
- Heifetz, R. A. (1994). Leadership Without Easy Answers. Belknap Press of Harvard University Press.
- Heifetz, R. A., & Linsky, M. (2002). Leadership on the Line: Staying Alive through the Dangers of Leading. Harvard Business School Press.
- Heifetz, R. A., Grashow, A., & Linsky, M. (2009). The Practice of Adaptive Leadership. Harvard Business Review Press.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。