シーナ・アイエンガー
Sheena S. Iyengar(1969–)
選択肢が多いほど人は自由になるのか、という問いを実験で確かめてきた社会心理学者。二十四種類のジャムと六種類のジャムを店頭に並べて比べた実験で、広く知られている。
- 肩書き
- 社会心理学者。選択の心理を研究
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1969–
- 分野
- 意思決定・行動科学
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
大学院時代から、選択の意味づけが文化によって異なることを研究してきた。英語圏とアジア系の子どもを比べた実験では、自分で選んだ課題に最も取り組んだ英語圏の子どもに対し、アジア系の子どもは母親が選んだと伝えられた課題に最もよく取り組んだ。二〇〇〇年にレッパーと発表した研究では、高級食料品店の試食台に二十四種類のジャムを並べた場合と六種類を並べた場合を比べ、多いほうが足を止める人は多いのに、実際に購入した人の割合は低いことを報告している。企業年金で選べる商品の数と加入率の関係を実データで調べた研究も行った。選択がもたらす負担と、選択を自分のものと感じる条件が一貫した関心である。
その後、どう扱われているか
ジャムの実験は一般向けの本や研修で最もよく引かれる心理学実験の一つになったが、その後の検証は厳しい。シャイベヘネらが五十件近くを集めたメタ分析(2010)では、選択肢が多いことの平均効果はほぼゼロだった。チェルネフらのメタ分析(2015)は、選択の難しさ、好みの明確さ、時間的な制約といった条件が揃ったときに限って負の効果が現れると整理している。効果が消えたというより、条件つきの現象として位置づけ直されたと見るのが正確である。文化差についての研究のほうは、その後の比較研究でおおむね支持されている。
よくある誤解
「選択肢は少ないほどよい」「提案は三案まで」という指針の根拠として引かれるが、メタ分析では平均効果はほぼゼロである。数を減らすより、相手が比較できる形に整えるほうが実験の含意に近い。
主著・主要論文
- Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. (1999). Rethinking the value of choice. Journal of Personality and Social Psychology, 76(3), 349–366.
- Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. (2000). When choice is demotivating. Journal of Personality and Social Psychology, 79(6), 995–1006.
- Iyengar, S. S. (2010). The Art of Choosing. Twelve.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。