ステファン・ロルニック
Stephen Rollnick
医療の現場で、生活習慣を変えたくない患者とどのように話すかという実務の問題から出発し、ミラーとともに動機づけ面接という会話の様式を体系化した臨床心理学者である。
- 肩書き
- 臨床心理学者。動機づけ面接の共同開発者
- 活動した国
- 南アフリカ→イギリス
- 分野
- 対話・関係
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
ミラーが依存症治療の場面で見出した進め方を、限られた診察時間しかない一般医療へ持ち込む役割を担った。その過程で、面接を技法の集合ではなく会話の様式として整理し直している。核となるのは、変わりたい気持ちと変わりたくない気持ちが同居する両価性を、抵抗ではなく誰にでも起きる普通の状態として扱う点である。説得を重ねると、相手は反対側の理由を自分の口で言うことになり、かえって変化から遠ざかる。そこで、開かれた問い、是認、聞き返し、要約という基本の応答によって、本人の口から変化に向かう言葉が出てくるのを支える。近年は医療のほか、教育、司法、スポーツ指導など、指示と助言が中心だった場面への展開に関わっている。
その後、どう扱われているか
効果は多数の無作為化試験とメタ分析で検討されてきた。ルンダールらが二十五年分の実証研究をまとめたメタ分析(2010)では、飲酒や薬物の使用など複数の領域で小から中程度の効果が報告されている。ただし効果は領域と研究のあいだで大きくばらつき、比較の相手を別の積極的な治療にすると差が縮むこと、面接者の熟達度によって結果が変わることが繰り返し指摘されてきた。喫煙のように効果が確認しにくい領域もある。職場の一対一の面談への応用は広がっているが、その場面での効果検証はまだ乏しい。
よくある誤解
「相手を説得しない技法」と要約されがちだが、動機づけ面接は方向を持つ会話である。何も勧めずに聴くのとは異なり、変化に向かう発言を意図的に引き出して強める点で、単なる受容とは区別される。
主著・主要論文
- Miller, W. R., & Rollnick, S. (1991). Motivational Interviewing: Preparing People to Change Addictive Behavior. Guilford Press.
- Rollnick, S., Miller, W. R., & Butler, C. C. (2008). Motivational Interviewing in Health Care. Guilford Press.
- Miller, W. R., & Rollnick, S. (2013). Motivational Interviewing: Helping People Change (3rd ed.). Guilford Press.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。