大野耐一
Taiichi Ohno(1912–1990)
機械工場長から副社長まで生産の現場を歩き続けた人であり、必要なものを必要なときに必要なだけ作るという考え方を、実際に工場で動く具体的な仕組みへと組み立てていった。
- 肩書き
- トヨタ元副社長。トヨタ生産方式の考案者
- 活動した国
- 日本
- 生没
- 1912–1990
- 分野
- 経営・マネジメント
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
豊田喜一郎が唱えたジャスト・イン・タイムを、現場で運用できる形にするのが仕事だった。後工程が前工程へ必要な分だけ取りに行く後工程引き取りを軸に、その指示を紙のカードで回す「かんばん」を考案し、在庫を積んで工程のばらつきを吸収するやり方をやめさせた。異常があれば誰でも生産ラインを止められる仕組みを組み合わせ、問題を隠さず表に出すことを設計そのものに組み込んでいる。作業の中身を、価値を生む仕事とそうでない仕事に分け、動いていることと働いていることを区別した。真の原因にたどり着くまで「なぜ」を五回繰り返せという指示も、この文脈にある。米国のスーパーマーケットの補充方式を参照したことも本人が書き残している。
その後、どう扱われているか
トヨタ生産方式は一九八〇年代以降、リーン生産方式として国際的に研究された。国際自動車プログラムの比較研究では、生産性と品質の両立が確認され、日本以外の工場にも移植できると報告されている。一方で限界も明らかになった。多くの企業でかんばんや改善活動といった道具だけが導入され、定着しない例が目立つ。研究では、道具ではなく、問題を表に出せる関係と、現場が生産を止める権限を持つことが要点だと繰り返し指摘されてきた。また、余裕を削る設計は供給網の途絶に弱く、労働の密度が上がるという批判も労働研究の側から早くから出ている。
よくある誤解
「なぜを五回」は回数の規則ではなく、最初の答えで止まるなという戒めである。原因を人の不注意に着地させて終える使い方は、大野が本文で挙げた例示と逆で、彼の例はいずれも設備と仕組みに行き着いている。
主著・主要論文
- 大野耐一『トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして』ダイヤモンド社, 1978年
- 大野耐一『大野耐一の現場経営』日本能率協会, 1982年
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。