セオドア・レビット
Theodore Levitt(1925–2006)
自社の事業を製品の側から定義すると衰退する、と論じたマーケティング学者。一九六〇年の「マーケティング近視眼」は、経営誌の論文としては例外的に長く読み継がれている。
- 肩書き
- マーケティング学者。市場近視眼を論じた
- 活動した国
- ドイツ→アメリカ
- 生没
- 1925–2006
- 分野
- 経営・マネジメント
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
一九六〇年の論文の主張は単純である。衰退した産業は需要を失ったのではなく、自分たちが何を売っているのかを取り違えた。鉄道会社は自らを鉄道業だと定義したために、輸送業だと定義していれば取り込めたはずの需要を他に渡した。映画会社は映画を作る仕事だと考え、娯楽を届ける仕事だとは考えなかったためにテレビへ顧客を奪われた。事業の定義を製品ではなく顧客の目的から立てよ、というのが処方である。一九八三年の論文では、通信と輸送の発達で各国の嗜好が近づき、標準化した製品を世界規模で売る企業が有利になると論じ、グローバリゼーションという語を経営の議論に定着させた。ハーバード・ビジネス・レビュー誌の編集長も務めている。
その後、どう扱われているか
事業の定義を顧客の側から立てるという発想は、いまも戦略立案の出発点として使われている。ただし論文が挙げた実例は後年の検証で修正されている。鉄道の衰退は事業定義の誤りだけでなく、規制、労働協約、道路と航空への公的投資といった構造的な要因が大きかったという指摘が有力である。また事業定義を広く取りすぎると、能力の伴わない領域へ拡張して失敗するという逆の危険がある。グローバリゼーションの論文についても、嗜好が世界的に均質化するという予測は支持されず、現地適応の必要は残ったというのが実証研究の結論である。
よくある誤解
「事業を広く定義せよ」という教訓だけが独り歩きしやすい。広く定義するほど競合は増え、自社の強みからも離れる。レビットは顧客の目的から見よと述べたのであって、定義を広げること自体を勧めたわけではない。
主著・主要論文
- Levitt, T. (1960). Marketing myopia. Harvard Business Review, 38(4), 45–56.
- Levitt, T. (1983). The globalization of markets. Harvard Business Review, 61(3), 92–102.
- Levitt, T. (1983). The Marketing Imagination. Free Press.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。