ウィリアム・ミラー
William R. Miller(1947–)
依存症の治療現場で、直面化して認めさせるやり方よりも、本人自身の言葉を引き出すほうが結果がよいことに気づき、そこから動機づけ面接をつくり上げていった臨床心理学者。
- 肩書き
- 臨床心理学者。動機づけ面接の開発者
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1947–
- 分野
- 対話・関係
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
一九八〇年代の初め、ノルウェーで研修中に自分が何をしているのかを言葉にする必要に迫られたことが出発点だったと本人が書いている。当時の依存症治療では、否認を打ち破るために直面化する手法が主流だったが、ミラーの研究では、治療者の共感の度合いが飲酒量の減少をよく予測した。逆に対決的な関わりはその場での抵抗を増やし、結果を悪くした。ここから、変化の理由を治療者が並べるのではなく、本人の口から出るように支えるという方針が組み立てられている。両価性を病理ではなく通常の状態として扱う点、そして協働・受容・思いやり・喚起という姿勢を技法の前提に置く点が特徴である。ロルニックとの共著によって、この方法は医療全般へ広がった。
その後、どう扱われているか
動機づけ面接は、心理療法のなかでも検証の量が多い部類に入る。メタ分析では飲酒・薬物・治療継続などで小から中程度の効果が示され、短時間の介入でも効果が出ることが利点とされてきた。ただし効果量は領域による差が大きく、対照条件を別の積極的な治療にすると差は縮む。禁煙や食習慣など、効果が安定しない領域もある。また、面接者がどれだけ手法に忠実かによって結果が変わることが繰り返し確認されており、短い研修だけでは実施の質が保てないという知見は、職場への応用を考える際にも重要である。
よくある誤解
傾聴の技法と同一視されやすいが、動機づけ面接には明確な方向がある。相手の発言のうち変化に向かうものを選んで強めるという操作を含むため、価値中立の傾聴とは異なり、使う側に倫理的な注意も求められる。
主著・主要論文
- Miller, W. R. (1983). Motivational interviewing with problem drinkers. Behavioural Psychotherapy, 11(2), 147–172.
- Miller, W. R., & Rollnick, S. (1991). Motivational Interviewing: Preparing People to Change Addictive Behavior. Guilford Press.
- Miller, W. R., & Rollnick, S. (2013). Motivational Interviewing: Helping People Change (3rd ed.). Guilford Press.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。