ウィリアム・ユーリー
William Ury(1953–)
人類学の訓練を受けた交渉研究者。フィッシャーとの共著で原則立脚型交渉を示し、その後は、相手が応じない場面や、当事者以外の第三者が果たす役割へと関心を移していった。
- 肩書き
- 人類学者。ハーバード交渉学プロジェクト創設者
- 活動した国
- アメリカ
- 生没
- 1953–
- 分野
- 対話・関係
- 収録した言葉
- 1件
何をした人か
『ハーバード流交渉術』の共著者として、立場ではなく利害に焦点を当てる進め方と、決裂した場合の最善の代替案という考え方を世に出した。その後の仕事は、この枠組みが効きにくい場面に向いている。『まず「ノー」と言わせない交渉術』では、相手が攻撃的だったり交渉自体を拒んでいたりする状況で、反応せずに一歩下がる、相手の側に回って考える、といった手順を示した。『第三の道』では、対立を当事者二者の問題として見るのをやめ、周囲にいる第三者、すなわち仲介者や証人や抑止者が果たす役割を数え上げ、紛争の抑制を共同体の機能として描いている。国際紛争の助言のほか、労使紛争や企業間の交渉にも関わってきた。
その後、どう扱われているか
利害に焦点を当てることで双方の取り分が増える場面があること、そして代替案の強さが合意条件を左右することは、交渉実験で繰り返し確認されている。一方、原則立脚型の手順が常に有利とは限らない。分けるものの大きさが固定された交渉では、統合的な工夫の余地は小さい。利害・権利・力の三層で紛争処理の仕組みを設計するという提案は、企業の苦情処理制度や労使関係の設計に取り入れられ、費用の削減が事例研究で報告されている。ただし比較試験による検証は乏しく、事例の積み上げにとどまる。
よくある誤解
代替案の考え方は「別の手を持っておけば強気に出られる」という話に短縮されがちだが、本来は自分と相手の両方の代替案を見積もる道具である。相手の代替案を読まないまま強気に出れば、決裂の確率だけが上がる。
主著・主要論文
- Fisher, R., & Ury, W. (1981). Getting to Yes: Negotiating Agreement Without Giving In. Houghton Mifflin.
- Ury, W., Brett, J. M., & Goldberg, S. B. (1988). Getting Disputes Resolved: Designing Systems to Cut the Costs of Conflict. Jossey-Bass.
- Ury, W. (1991). Getting Past No: Negotiating with Difficult People. Bantam Books.
- Ury, W. (2007). The Power of a Positive No. Bantam Books.
刊行年・出版社まで確認できたものを挙げています。邦訳の有無や版によって表記が異なる場合があります。