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用語心理学用語大全●エビデンス:中程度

自己効力感

Self-Efficacy

自己効力感とは、ある課題を自分は実行できるという主観的な見通しです。心理的資本の介入メタ分析では効果量 d=.37 が報告され、目標設定の効果を左右する条件としても位置づけられています。能力そのものとは別物です。

公開 2026-08-25 / 更新 2026-08-25

定義

自己効力感とは、ある課題を遂行するために必要な行動を、自分は実行できるという見通しや確信を指します。能力そのものではなく、「できそうだ」という主観的な判断である点が特徴です。

定義

自己効力感とは、ある課題を遂行するために必要な行動を、自分は実行できるという見通しを指します。実際の能力の高さではなく、「できそうだ」という主観的な判断である点が要点です。同じ能力をもつ二人でも、この見通しが違えば、挑戦するか避けるか、困難に直面したときに粘るか諦めるかが変わります。

どこから来た概念か

心理学者 Albert Bandura が社会的学習理論・社会認知理論の中核概念として提唱しました。人の行動は、結果への期待だけでなく、その行動を自分が実行できるという期待によって決まる、という発想です。形成の経路としては、実際に成功した経験、他者の成功を見ること、他者からの言語的な励まし、そして生理的・感情的な状態が挙げられます。なかでも自分が実際にやってできた経験が最も強く効くとされ、この点が研修設計や仕事の割り当てに直接つながります。

研究では何がわかっているか

自己効力感は、心理的資本(PsyCap)を構成する4要素(希望・効力感・レジリエンス・楽観)のひとつとして、介入研究の対象になってきました。事前登録されたメタ分析41試験では、自己効力感の介入効果は d = .37 と報告されています。PsyCap全体は d = 0.34、レジリエンス .49、楽観 .36、希望 .22 でした(Lupșa et al., 2020)。事前登録という手続きを踏んだうえでの結果であり、信頼性は比較的高いものの、効果量そのものは中程度以下です。

PsyCapの相関的な検討では、51サンプル・N=12,567 のメタ分析で、望ましい態度・組織市民行動・業績と正、シニシズム・離職意図・ストレスと負の関係が報告されています(Avey et al., 2011)。

自己効力感は単独で扱われるより、他の理論の条件変数として登場することが多い概念でもあります。目標設定理論では、コミットメント、フィードバック、課題複雑性と並ぶモデレータとして位置づけられています(Locke & Latham, 2002)。コーチングのメタ分析では、目標志向的自己制御に対する効果が g = 0.74 と報告されており(Theeboom et al., 2014)、自分で目標を立て進捗を管理する力が支援によって伸びることが示唆されます。

実務でどう使うか

第一に、小さな成功経験を設計することです。形成経路のなかで最も強いのが実体験である以上、いきなり大きな挑戦を任せるより、達成可能な段階を刻むほうが確実です。第二に、課題ごとに見ることです。「あの人は自信がない」ではなく「この業務については見通しが持てていない」と分解すると、打ち手が具体化します。第三に、目標設定とセットで扱うことです。達成できると思えない目標は機能しません。第四に、効果量を過大評価しないことです。d = .37 は、研修一回で人が変わるという期待を支えません。

よくある誤解

「自己効力感が高い=実力がある」ではありません。 見通しと実力は別物で、乖離することもあります。

「励ませば上がる」わけでもありません。 言語的な説得は形成経路のひとつですが、実体験に比べれば弱い経路です。

全般的な性格特性ではありません。 領域ごとに異なるため、「自信をつける研修」より、特定の業務で成功する機会を設計するほうが理にかないます。

よくある質問

自己効力感は高められますか?

ある程度は高められると報告されています。心理的資本(PsyCap)の介入を対象とした事前登録メタ分析41試験では、自己効力感の効果量は d = .37 と報告されました。PsyCap全体は d = 0.34、レジリエンスは .49、楽観 .36、希望 .22 です(Lupșa et al., 2020)。中程度以下の効果量です。

自信と同じですか?

違います。自信が漠然とした全般的な感覚であるのに対し、自己効力感は「この課題について」という限定つきの見通しです。プレゼンには高い自己効力感をもつ人が、データ分析には低い自己効力感をもつ、ということが普通に起こります。

目標管理とどう関係しますか?

目標設定理論では、自己効力感はコミットメントやフィードバック、課題複雑性と並ぶモデレータとして位置づけられています(Locke & Latham, 2002)。達成できると思えない目標は、そもそも機能しません。

参考文献

  1. Lupșa, D., Vîrga, D., Maricuțoiu, L. P., & Rusu, A. (2020). Increasing Psychological Capital: A Pre-Registered Meta-Analysis of Controlled Interventions. Applied Psychology.
  2. Avey, J. B., Reichard, R. J., Luthans, F., & Mhatre, K. H. (2011). Meta-Analysis of the Impact of Positive Psychological Capital on Employee Attitudes, Behaviors, and Performance. Human Resource Development Quarterly.
  3. Locke, E. A., & Latham, G. P. (2002). Building a Practically Useful Theory of Goal Setting and Task Motivation. American Psychologist, 57(9), 705-717.
  4. Theeboom, T., Beersma, B., & van Vianen, A. E. M. (2014). Does Coaching Work? A Meta-Analysis on the Effects of Coaching on Individual Level Outcomes in an Organizational Context. The Journal of Positive Psychology.

本ページは上記の文献等をもとに編集部が作成しています。数値や結論の詳細は必ず原典をご確認ください。

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